教訓Ⅰ

隅田です。

これはレッスンワンと読むのかもしれません。数年前に亡くなった伝説のシンガーソングライターの加川良(かがわ りょう)さんの名曲中の名曲です。2014年11月2日に北九州市でのライブを観れたのがとてもラッキーでした。

最近では女優でモデルの杏さんが、ご自分のyoutubeチャンネルの中で弾き語りを公開しており、時代を超えて引き継がれています。一度チャンスがあったら加川良さん、杏さん、あと吉田拓郎さん等たくさんの方が歌っているので、ネットで検索してみて聴いてください。

今時だとコンプラ的に少し気になる言葉もありますが、とりあえずオリジナルのまま歌詞を紹介します。

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命はひとつ 人生は一回 だから 命を 捨てないようにネ

あわてると つい フラフラと お国のためなどと言われるとネ

青くなって しりごみなさい 逃げなさい 隠れなさい

お国は 俺たち死んだとて ずっと後まで 残りますヨネ

失礼しましたで 終わるだけ 命のスペアは ありませんよ

青くなって しりごみなさい 逃げなさい 隠れなさい

命を捨てて 男になれと 言われたときには ふるえましょうヨネ

そうよ あたしゃ 女で結構 女のくさったので かまいませんよ

青くなって しりごみなさい 逃げなさい 隠れなさい

死んで神様と いわれるよりも 生きてバカだと いわれましょうよね

きれいごと 並べられたときも この命を 捨てないようにね

青くなって しりごみなさい 逃げなさい 隠れなさい

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時代背景としては1972年発売なので、安保闘争の流れがあるものの、大阪万博等新しい時代の到来により忘れ去られようとした第二次世界大戦の教訓を歌ったものと思われます。

これまた伝説のフォークシンガーですが、中川五郎さんのブログによると、この歌は上野瞭という作家が書いた『教訓ソノ一』をもとにしているということですが、フォークソングという形としたことで今日まで受け継がれているのは、加川良さんの功績ということですね。

さて、この歌詞ですが、基本的に命が危なくなったら逃げることは恥ずかしいことではないという歌だと私は自分なりに解釈しています。

2011年3月11日東日本大震災の時に、「釜石の奇跡」、「大川小の悲劇」と言われている、天国と地獄みたいな出来事がありました。

「釜石の奇跡」とは、釜石市の鵜住居地区で中学生が小学生の手を引いて避難したこと、地震の大きさから建物の屋上より絶対大きな津波が来ると感じた先生が点呼を待たないで逃げられる生徒から逃げさせたことが、津波から全ての生徒の命を救ったというものです。

一方、みんなを待って一緒に逃げよう、一緒にいれば大丈夫、10Mの屋上に皆で登れば大丈夫と逃げない選択をしたことで、数十名が一瞬にして津波にさらわれたのが「大川小の悲劇」です。

なぜ釜石では助かったのか。それは日ごろから防災教育を行っており、逃げられるだけ海から遠く、そして高いところに、とにかく早く逃げることを生活の一部として徹底させていたからできたのです(釜石市で防災教育を普及した当時群馬大学教授の片田先生の功績がとても大きいと聞いております。ちなみに私の大学の先輩でもありますが)。

第二次世界大戦の最悪の作戦と言われるインパール作戦では、勝てる見込みがないと分かっても、作戦を変更せず、負けた反省もなく、本国には大成功と嘘の報告をして、現地では同じ作戦を繰り返して命令しては負け、繰り返し命令しては負け、そしていよいよそれが本国にばれそうになったら、現地の幹部は逃げ出し、インパール作戦終了の後も司令官の無い兵士が戦いを続けて野垂れ死にし、死者はビルマ戦士(日本軍の支配下)や民間人含めて何十万人とも何百万人とも言われています。最近NHKスペシャルで克明な取材等にもとづくドキュメンタリーをみて、つくづくその悲惨さについて認識しました。

さて、加川良の「教訓Ⅰ(Lesson One)」に戻りますが、必要な時は逃げることが大切であり、それは弱者の特権であり、決して恥ずかしいことではないという歌であることを教えてくれます。そして「逃げなさい、隠れなさい」という語り口は、見てみぬふりをするのではなく、困っている人がほかにもいれば一緒に逃げることも大切であることを教えてくれます。

日々の生活の中で、色々な状況や立場において、直ぐには逃げたくても逃げられない時がありますが、そういう時は、逃げられるのであれば逃げることが一番いいし、逃げられないのであれば、誰かに打ち明けることが大事です。

「こうしなければいけない」ということから少し離れて、別なやり方もあるのではないだろうか、一回リセットしてみてはどうか、恥ずかしいけど誰かに打ち明けて相談に乗ってみた方がよいのではないだろうか、このまま自分が頑張っても人にもっと迷惑をかけるのではないだろうか、悪く言えば弱気な心を見せることで自分と周りを救うことが、実はとても多いと思います。

人は一人では生きていけない生き物だと思います。

そして人生は一度しかありません。

できれば皆で相談して、協力して、仲良く、楽しく生きていきたいものですが、過剰な仲間意識が足かせになることもあります。

こうして考えると、軽はずみに人に対して頑張れとは言えなくなるものです。

頑張ることは大切ですが、無理しない人生を送りたいものです。

追伸 ちなみに本日11月21日がどうやら加川良さんの誕生日のようです。

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